「高良大社文書(百四十六通)」、国の重要文化財に決す
この度、高良大社の所蔵する千七百件以上の歴史資料の内、百四十六通(十五巻、十八冊、十七通)の「高良大社文書」が、令和四年十一月十八日に開かれた国の文化審議会の審議・議決を経て、令和五年六月二十七日付けにて国の重要文化財の指定を受けました。
本文書群は、大祝(おおほうり)職を務めた鏡山家、大宮司職を務めた宗崎家、神仏混淆の中で仏教を司る座主(ざす)家のいわゆる「高良三家」に伝わった文書を中心に構成されています。
この内、鏡山家に伝わった斉衡三(856)年の「筑後国符写」と天慶七(944)年の「筑後国解写」(通称「斉衡・天慶文書」)は、突出して古い年号を有し、平安時代後期頃までに作られたものと推定されます。「筑後国解写」は天慶年間の頃のものとして違和感はないとされ、一国内の神々の名称を書き上げた「国内神名帳」として日本最古の内容を伝えます。
他に、室町時代〜安土桃山時代に九州の諸大名やその家臣が高良三家に宛てた文書群が豊富に残ります。
以上により、本文書群は高良大社および北部九州の歴史研究上、極めて貴重な内容を有するとした評価を受けるに至りました。
高良大社宝物館 令和六年度開館スケジュールのご案内
平常展「高良山の歴史を物語る文化財」
<春>令和六年四月六日~五月六日 ※終了致しました
<秋>令和六年十月九日~十一月四日
上記の土日祝日
古代・中世・近世・近代の各時代を象徴する当社所蔵の歴史資料を展示致します。これらを通して、北部九州の政治的・軍事的・宗教的拠点として栄えた、一六〇〇年以上の長きに亘る霊峰高良山の歴史をご紹介しましょう。
企画展「『紙本墨書平家物語 覚一本』特別公開」
<夏>令和六年七月二十七日~八月二十五日 ※終了致しました
上記の土日祝日
普段は木箱の中を非公開とする「紙本墨書平家物語」。国内で現在確認されている「覚一本」の写本六点の内、高良大社本は二番目に古く、大変貴重な資料です。拝観者の皆様のご要望にお応えしまして、特別公開致します。
【高良大社宝物館】
開館時間/午前十時~午後三時 但し、祭事の日は祭典終了後に開館
拝観料/無料 但し、お志を頂戴しております
※開催期間は変更になることがあります。当ページにて改めてお知らせ致します。
高良大社機関誌、創刊
今に伝わる高良山の文化財を保存・研究し、その歴史や文化、伝統をより多くの人々と共に考え、未来へ伝えることを目的として、機関誌「高良山-その歴史と文化-」を発刊致しました。
創刊号は令和5年10月に発行。令和4年12月に久留米大学にて一般参加者を募って開催された、シンポジウム「歴史をつなぐ 高良山の文化財」における講演・報告を各登壇者にわかりやすくまとめてもらいました。
皆様に気負わず手にとって頂けるよう、“肩の凝らない”一冊を目指しております。社務所で配布しておりますので、お求めの際はお声掛けください。
なお、寄稿文を募集しております。高良山に関することなら研究論文はもちろん、簡単なコラムでも研究ノートでも随筆でも、何でも結構です。
【創刊号 目次】
ごあいさつ
高良山の御宝物、国指定重要文化財に決す
各論
文化財を護る仕事-古文書を中心に- 藤田励夫(文化庁文化財第一課)
高良大社所蔵歴史資料調査について 穴井綾香(久留米市市民文化部文化財保護課)
高良山の歴史と文化 松川博一(九州歴史資料館)
御山の宝物と人々 松本長人(高良大社)
高良山のボランティアと地域活動 山口淳(高良山観光ボランティアガイドの会)
地域の歴史遺産と大学の役割 吉田洋一(久留米大学文学部)
報告
シンポジウム「歴史をつなぐ 高良山の文化財」
令和3・4年度 宝物館だより
編集後記