6月1日・2日 川渡祭の2日間、特別に、疫病・災難・厄難消滅「お杖さん」を境内に奉安いたしました。300年ほど昔、高良大明神から授かった杖です。新型コロナウイルス感染症の拡大が終息し、皆様方に幸せで平穏な日常が戻ってくることを祈念しております。
高良大社では、神社で「お杖さん」に関する祭典行事は行っていませんが、今年の新型コロナウイルス感染症の拡大危機に際し、多くの方々が不安を抱えながらの生活を余儀なくされている昨今におきまして、高良の神様と御神徳を授かる「お杖さん」の御神助のもと、一日も早くこの感染症の拡大が終息し、皆様方に幸せで平穏な日常が戻ってくることを祈念し、この度、特別に「川渡祭」の6月1日・2日の2日間に、「お杖さん」を境内に奉安しました。
◆祈 疫病退散「お杖さん」
300年前に高良の神様から授かった清祓の剣
高良大社の特殊な信仰に、「お杖さん」があります。これは、『お杖借り受け』と称して地区ごとに高良大社から「お杖さん」を拝借して、地域の安全・疫病退散・五穀豊穣を祈るものです。
「お杖さん」は、その名からして杖なのですが、誰もその納められた箱を開けた者はおりません。
今から300年ほど昔、山麓に住む信仰深い鹿児島教内(かごしま きょうない)なる人物が、どうしたことか流行病を煩いました。
なかなか治らず、「これはまだまだ自分の信心が薄いからだ」と考え、教内は、家族一同で高良大神様を拝んだところ、ある晩、夢枕に白髭の高良大神様がお立ちになり、「汝、我を念願する事至って深なり、我、汝に 来国次(らいくにつぐ)の剣をあたえん、此の剣を以て悪魔を清祓すべし」と告げられました。
翌朝目を覚ますと、枕元に杖が立てかけてあり、教内は喜んで杖を執り打ち払ったところ、病はほどなく全快したそうです。
この話を聞いた住持の高良山座主は、「玉垂宮の授けた杖を一般の家に置いておくのは畏れ多い事」として自らの元へ納めさせたところ、凶事が相次いだため、「在りし所に置いてしかるべき」と黒塗りの箱を調えて教内宅へと返されました。
その後、教内の元には、病気平癒祈願の為、霊験あらたかなる杖を借りに来る者が絶えませんでした。
時が移りあらためて高良山へ納められた杖は、「お杖さん」として、今でも、田植えの済んだ頃に筑後各地の世話人さん方が、拝借に来山します。
「お杖さん」が各戸を巡回してお祓いをする「高良お杖祭」と称して、集会所に奉安して町民一同にて安泰を祈念する。或いは、「お杖さん」の下を潜って息災を祈る等、各地区で様々なお迎えの仕方があります。
御参拝の皆様は、境内に設置された「お杖さん」にお参りをされていました。