8月7日、御屋根替え工事現場説明会(第1回)を開催しました。職人によるこけら板の実演や竹くぎ打ち体験会も実施。久留米大学のご協力により、学生の皆さんが案内役を務めました。
8月7日(日)の午後1時から午後4時まで、「御屋根替え工事現場説明会(第1回)」を開催しました。
現在、大規模改修工事が進み、こけら葺(ぶ)き屋根工事が始まっています。今回、国の重要文化財に指定されている社殿の御屋根替え工事の進捗状況を見ていただくための現場説明会です。
当日、説明会に参加された皆さんは受付を済ませ、お祓いを受けました。
現在、高良大神様は本殿より仮殿へお遷りいただき、社殿は工事用の囲いですっぽりと覆われています。
久留米大学のご協力により、学生さんたちが案内役として努め、参加者の皆さんにヘルメットを渡しました。皆さんは着用後、少し緊張の面持ちで足場を上っていきました。
社殿の屋根は、こけら板および瓦がすべて外され、すのこ状の下地である野地があらわになっています。「昭和五十年度取替材」という文字が刻まれた板もありました。
公益財団法人文化財建造物保存技術協会の江見歩さんより、説明をしていただきました。
「高良大社は日光東照宮を模した権現造の建築物です。御屋根の曲線は唐破風と呼ばれます。耳納連山を龍の体に見立て、その西の先端に当たるのが拝殿ですので、龍頭の意匠が凝らされています。奥は、唐獅子や麒麟です」
現在、板を重ねて並べるこけら葺(ぶ)きの作業が本格化しています。
江見さんは、その作業の説明をされました。
「今回の葺き替えに使われるこけら板は15万枚です。気候条件が厳しい長野県南木曽の国有林であるサワラの木を使っています。1枚1枚すべて手作業で慎重に作られ、この板を約3センチずつずらしながら葺いていきます」
板の製作と工事には、独自の高度な技術と工具が必要とされます。
この道17年と29年と言われる職人のお二人が、こけら板を竹クギで止める実演をしました。専用の金づちを使います。竹クギは神社仏閣などの檜皮葺(ひわだぶき)やこけら板葺に欠かすことのできない特殊なクギで、竹を加熱して油を抜いていますので、耐久性に優れています。
職人の方が説明をされました。
「左手は、こけら板がずれないように押さえます。竹クギを20本から30本、口に含んで右手で取り出し、そのまま金づちで、このように打ち込んでいきます」
お二人の素早い動きに、参加者の皆さんから感嘆の声が上がりました。
説明会の終了後、皆さんは竹クギをこけら板に打つ体験をされました。
「どうぞ、実際に打ってみてください」
「竹クギを打てるなんて、こんな経験は貴重!」
「日本人の知恵、伝統技術はすばらしいですね。」
市内にお住まいの女性に、説明会の感想をお聞きしました。
「日頃から参拝をさせていただいています。神社の建築として九州一の大きさと聞いていますので、市民として誇りに思っています。今日は、御屋根替え前の社殿の姿を拝見して、高良大社を大切にしてきた当時の方々の思いに触れることができました。私たちも久留米の宝として、さらに大切にしていきたいと改めて思いました」
久留米大学のご協力により、学生さんたちが案内役を務めました。
学生の皆さんは、参加者にヘルメットを渡したり片付けたり、誘導したりマイクを持ったり、そして見学の終了後に冷たいお茶を配ったりと大活躍です。
そのさわやかな笑顔に、参加者の皆さんも「若い皆さんが頑張っているね」と喜んでおられました。久留米大学の皆さん、誠に有難うございました。
9月に入りましても、ご寄付をいただいた皆様を対象に、御屋根替え工事の見学会(第2回・第3回)を開く予定です。
どうぞ宜しくお願いいたします。
ご奉賛の案内書
久留米市はもとより筑紫一円に縁ある私たちは、先人の尊い遺産を受け継ぎ、後世に残し伝えていきたいと存じます。この趣旨に格別なるご賛同を戴き、切にご支援を賜りますようお願い申し上げます。